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新種の悪魔

 いつだって悪魔は隣人だ。かつて彼らは異教徒とか同性愛者とも呼ばれた。凄惨な魔女狩りの末、人類は愛と理性に目覚め、悪魔は人に姿を変え、受け入れられていったはずだった。しかし、愛と自由の時代に新たな悪魔が現れる。小児性愛者だ。

 かつて同性愛は背徳の烙印を押されていた。欧米に限らず、近代以降、この国でも同性愛は差別されてきた。だが、小児性愛は問題視さえされなかった。それは確固たる事実だ。

 小児性愛は児童を傷つけるから悪だ、という意見がある。なるほど、同性愛者は同性を襲わないのだろうか。異性愛者に強姦罪は適用されないのか。

 人は学ばない。次々と悪魔を作り出しては火炙りにし、己の所業を省みては戦慄し、過去に野蛮の烙印を押し続ける。欲望が常に背徳と裏表だからこそ、人々は安心を求め、善悪の二分法で少数派を斬り、その生き血に酔う。隣人を生贄にして享楽に耽る私たちが、悪魔でない証拠はあるのだろうか。